何時も馴染みのお客様からのレポートを御紹介します。
私のアンティークに対する気持ちや、かかわり方が大変似ていて嬉しく思いました。
これがまさしくアンティークの面白さ、妙味だと思います。
Kさん
「あ、素敵なフォルム!なんじゃこりゃ?!」
私は、普段は気にしない一番上の棚に有るブラウンの缶に手を伸ばしました。
手に取り、ネルの布巾でシュッシュッと拭くと、
”BRITISH EMPIRE EXHIBITIONS 1925”の文字、ライオン、そしてLIPTONの文字が!
気になった私は、少し調べてみました。
私が小一時間ほど磨いていたのは、帝国展覧会を記念して作られた、リプトン社の土産用のティーキャディーだったのです。
雄々しくもスタイリッシュなライオンは、FC HERRICKがデザインした展覧会の公式マークだそうです。
帝展は、1924年から1925年にかけて、北ロンドンの田園地帯ウェンブリーで開催されました。経済振興、大英帝国の結束、信頼を高める事を目的としていたようです。
時代背景を簡単にまとめると、第一次世界大戦で多くの優秀な若者が命を落とし、希望をなくし、頼みの基幹産業は、安価で質の悪い製品を作るアメリカに追い越され、帝国は危機感を抱いていました。
1924年の帝展は、70年前に開催されたロンドン万博には遠く及ばなかったと評されているようですが、リプトンのティーキャディーを手に取り眺めていると、当時の帝国の気高いプライドを感じます。
安かろう悪かろう、質の悪い製品を生産する当時のアメリカ。彼らの真似できない物を作ろうとした帝国のプライド、職人の技をアールデコのティーキャディーに感じます。
普段は気にも留めない、高い棚の上。
そこにチンと座し、私たちを見下ろすティーキャディー。
「ワタクシはね!帝国のプライドそのものを象徴しているのよ!丁寧に磨きなさいよ」
口があったら、そう言うに違いない。
Kさんは、グランマーズキッチンに初めて入った時に、「ここはライブラリーだ
」と思ったそうです。
書庫なら、積んで置くよりは、手にとって読むべきでしょうね
Kさん、楽しいレポート有難うございます。
又磨きに来てください!ケーキをご馳走いたします。
本当にピカピカ光っています。